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ゲームやガジェットの雑記

Anbernic RG353V レビュー

今回は、RG353V のレビュー。

Anbernicから届いたサンプル品でのレビューとなる。

10/6までプリセールス期間中で1150円の割引が適用されるそうだ。

NEW ANBERNIC RG353VS/RG353V ポータブルゲーム機 RK3566 – anbernic

スペック概要:

RG353Vの主なスペックは以下の通り。

  • CPU:RK3566
  • メモリー:2GB
  • 内臓メモリー:32GB
  • 外部ストレージ:MicroSDスロットx2(MAX512GBで1つはLinux起動用)
  • 画面:3.5 インチ IPS 、解像度 640*480
  • 無線通信※:2.4/5G WIFI 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2
  • バッテリー: 3200 mAh
  • スピーカー:シングル
  • サイズ:83.0mm × 126.0mm × 21.0mm
  • 重さ:180g
  • OS:LinuxとAndroid11のDual boot
  • その他:MiniHDMI出力
  • 価格:¥16,149 (プリセールス価格)

※技適マークが確認できない為、Wifi/Bluetoothは実質使えない。

となっている。詳細は公式サイト参照。

このスペックは先にリリースされていたRG353Pと同じ。RG353Pを縦型にしたのが、RG353Vという事になるようだ。

RG353Vと一緒にRG353VSというのもリリースされており、RG353VとRG353VSは見た目は同じでスペックが若干異なる。

RG353VSのRG353Vと異なる部分は

  • OS:Linuxのシングルブート
  • 内臓ストレージ:なし(Android11が無いので)
  • メモリー:1GB
  • 価格:¥12,849(プリセールス価格)

こんだけ。つまり基本性能はほぼ一緒で格安となっている。

RG353VSの方は、RG503の画面を3.5インチにしたのと同等スペック。

RG503が¥17,999(セール価格)なので、RG353VSはかなり安く価格設定されている。

RG353Vについても、同等スペックのRG353Pが¥18,799なのでRG353V(¥16,149)も格安と言える。

今回は所謂Anbernic価格ではなく、市場価格に合わせてきた感じだね。

RG353VとRG353VSの差を考察:

今回僕が手にしたのはRG353Vなわけだが、「Android11が良い!」という拘りが無ければ、RG353VSでも良いんじゃない?と思ったりする。

エミュレータ性能に影響を与えそうなスペックの差は、メモリー容量の差だけで、このメモリー容量の差も実は対して違いを生まないのではないかと思っている。

というのも、RG353Vに搭載されているCPU RK3566で動かせるエミュレータは据置機ならDreamCastまで、携帯機ならPSPくらいまでだと思われる。

PS2は動くけど遊べない、Game Cubeは動くタイトルがあるかも?くらいの感じだ。

参考として、各エミュレーターを動かすのにどれくらいのメモリーが必要かというと

エミュレーター 最低メモリー 推奨メモリー
SFF(Sega Satrun) 256MB 512MB
ePSXe(Playstation)  256MB 512MB
Redream(DreamCast) ?? 512MB
PPSSPP(PSP) 512MB 2GB
Dolphin(Game Cube/Wii) 1GB 2GB

こんな感じ。(Winのエミュも混ざっているけど、参考値という事で・・・)

DreamCast位までなら1GBあれば十分だし、PSPについてはタイトルによっては、CPUスペック不足になるのでメモリー容量があってもあまり意味がない。

実際RG353VSとほぼ同等スペックで1GBメモリーを積んだRG503と、CPU性能が少し上で、3GBメモリーを積んだRetroid Pocket3でPSPのGod of Warを動かしてみると、RG503で30FPS前後、Retroid Pocket3で40FPS前後なる。なので、この価格帯のエミュ機では、そもそもCPUスペックが足りてない可能性が高い。

また、Game Cubeのゼルダの伝説 風のタクトをDolphinで動かすには、2GBのメモリーが必要との事だが、RK3566でGame Cubeを快適に動かすのはそもそも無理だと思うので、メモリー容量以前の話だ。

そう考えると、エミュレーター機としてLinuxをメインに使って遊ぶなら、メモリー容量1GBのRG353VSでもRG353Vとほぼ同等の体験ができると言って良いだろう。

RG353Vに2GBのメモリーを積んでいる理由は、エミュレーター性能云々よりも、Android11を快適に動かすというのが主な理由だろう。

Android11を搭載したRG353Vのメリットは、スタンバイ状態で放置しておいて遊びたい時にサクッと起動できる点くらいかな~。

因みに、RG353Vで100%充電・Wifi/Bluetoothオフの状態で、12時間程度放置しておいたらバッテリーは95%になっていた。まあまあの持ちかな?!

ま、僕はLinux派なんですけどねw

同梱物:

RG353Vの話に戻ろう。同梱物は以下の通り。説明書は英語・中国語。

説明書には各種エミュレーターでのショートカットキーが記載されているので必読。

ビルドクオリティ:

ビルドクオリティは良いと感じる。

僕のは「透明な紫」という色だが、さらっとしたプラスチック筐体の質感、各パーツの組合せ精度ともに良好だ。

携帯エミュ機としては高い質感と言って良いレベルだと思う。

一点気になるのは、背面のLRボタン。

ここだけパーツ精度が低いようで、本体を振るとLRボタンがカチャカチャいってちょっと安っぽく感じてしまう。

操作性:

操作性については、まあまあかな?

まず十字キーについては、ボタン自体の入力精度は良いと感じる。Anbernic製品では個体差によって十字キーの操作性の善し悪しがあったりするのだが、今回僕が手にしたRG353Vは良い感じだ。

十字キーの大きさは22㎜と他のAnbernic製品と同じ、押し心地はちょっと固めで浅い押し心地だった。

ストリートファイターZero3を使って、コマンド入力精度のチェックをしてみた。

波動拳、昇竜拳ともにまあまあ出る。筐体がコンパクトなので握りが悪く、とっさのコマンド入力(対空昇竜など)はミスる事がある。波動拳コマンドを素早く2回入力する真空波動コマンドは少しやりにくいと感じた。

ただ、コンパクトな筐体にしては十字キーの操作性は良いと思う。少なくともRG280VやMiyo miniよりは操作性が良い。

まあRG280VやMiyo miniとはちょっと製品コンセプトが異なるとは思うけどw

ABXYボタンの大きさは7.7㎜で他のAnbernic製品同様、少し深めの押し心地だ。同時押しも問題ない。

アナログスティックの位置が少し下過ぎる気もするが、この筐体サイズでは仕方ないところだろう。

試しにPSPの「僕の私の塊魂」を2つのアナログスティックに操作系を割り当てて遊んでみたが、割と快適だったw

比較的好印象な操作系だが、問題点もある。

それはL2R2ボタンの配置。

R2L2がL1R1と同じ高さで配置されているので、すごく押しにくい!

RG351VにはL2R2ボタンに段差が付いていて押しやすい

RG351VはL1R1ボタンが斜めに傾斜しており、かつ、L2R2ボタンに段差がついているので横並びでも押しやすい。何故RG351Vと同じ仕様にしなかったのか謎だ。

まあ、RG353Vの性能ではL2R2をフル活用するようなタイトルは快適には動かないので妥協できる点ではあるが・・・

エミュ性能(LinuxOS):

いくつかゲームを動かしてみたのでエミュ性能についても少し触れて行こう。

まずは、Linux側から。

何を基にしたFWなのかはわからないが、AnbernicカスタムなFWが導入されていると思われる。TFスロット1のSDカードにFWが入っている様で、TF1にSDカードを刺した状態で起動するとLinuxベースのOSが起動する。

TF2に空のSDカード(僕はexFATでフォーマット)を刺して起動すると、自動的にROM格納用のフォルダーが生成される。

TF2のSDカードを取り出してPCに繋ぎ、各フォルダーにROMデータを入れてRG353Vに戻して起動すれば、ゲームが遊べるようになる。

初期設定では、NDSとSaturnのフォルダーは生成されなかったので「nds」「saturn」という名前のフォルダーを自分で作ってそこにRomデータを格納したら認識された。

ただし、Saturnはお勧めしない。

SaturnはFWの初期状態で表示されないエミュになっており、ROMデータを格納した後、Game Collection Settingsから表示するエミュとしてチェックを付けると表示される。

表示するエミュとしてチェックを入れれば、ROMが表示され実行すればゲームが起動するのだが、ゲームを起動してしまうと設定画面も開けず、ゲームを終了するショートカットキーも機能しないので、本体のリセットボタンを押すしかゲームを終了する方法がなくなってしまう。たしかRG503のStockFWもこんな感じだったな・・・

Saturnのタイトルは、Night into the dream...を試してみたのだが、若干遅い気がする。フレームレート表示させれないので、正確な数字はわからないが50FPS前後しか出て無いのではないかと推測される。

PSPのタイトルはおおむね良いが、God of Warは30FPS前後しか出ず遊べるとはいいがたい。

DreamCastについては、スタンドアロン版のFLYCASTが入っているのだがこれを選んでしまうとSaturn同様、設定画面が開けない・ゲームが終了できない事態に陥る。

Retroarch版ならその問題は起きないが、Daytona USAを起動してみたところ50FPS弱しかフレームレートが出なかった。

性能的には、RG503と同じだね。当然かw

CFWを使えばもう少し良くなる可能性はある。

エミュ性能(Android11):

Android11でのエミュ性能も軽く触れておく。

まだあまり時間をかけて検証できてないが、Linuxを使った時と大きく変化がある様には感じなかった。

ただ、上手くやれば少し良くなる可能性が有りそう。

というのも、RG353VのAndroidにはGoogle Playが導入されていない。その為、Google Playから好きなエミュレータをダウンロードしたり、アップデートしたりは出来ない。

初期状態で入っているエミュを使うしかないわけだ。

まあ、技適マークが無いんでGoogle Playあったところで・・・となるわけだが、Androidが使える利点が半減しているような気がする。

一方で、オリジナルのランチャーが搭載されていたり

オリジナルのゲームランチャー

キーマッピング機能が搭載されていたりもする。

ごちゃごちゃして分かりにくいが、キーマッピング機能を起動したところ

また、ABXYボタンをNintendoスタイルとXboxスタイルに変える機能も搭載されている。

赤枠内 左:エミュランチャー、中:キーマッピング機能、右:ABXYボタンレイアウト変更 

画面上からスワイプすると上記の様な専用ボタンが表示される。

こういった機能が搭載されているのは良い点なんだけどね~

 

Android側では、AetherSX2やDolphinがインストールされているのでPS2やGame Cubeのタイトルも起動は出来る。

でも、遊べるかと言われるとキツイ。

PS2では比較的軽いとされているグラディウスVを起動してみたが、フレームレートは30FPSを切る感じ。

PS2のグラディウスV

Androidを起動できるのは特徴であり、利点でもあると思うけど僕はLinuxメインで使う方が良いかな?という印象だった。

CFW:

RG353VはRG353Pとほぼ同じハード構成なので、RG353P用のCFWが使えるらしい。

という事で、別の機会にJELOSを導入して検証してみようと思う。

ArkOSもリリースされるのでは?!という話もあるらしい。

新機種とはいえ、リリース済みの既存機種とほぼ同じ仕様なので、CFWが流用出来そう・すぐに対応CFWが出そうな点は良い点だなと感じる。

追記:

JELOSを試してみた。起動は出来るしゲームも動かせるが音が出ない状態だった。また、ファンクションキーが使えないので、スタンドアロン版のエミュを起動すると終了できなくなってしまう状態になる。

近々対応版がリリースされるようなので、それを待った方がよさそうだ。

lou-gun.hatenablog.com

入力遅延:

入力遅延の有無についても確認してみた。

いつものようにGBAのカービィのミニゲーム「刹那の見斬り」で検証を行う。

まずはAndroidから。使ったエミュはGBA.emu。

まあ、良いんじゃない?もうちょっと集中すると12フレームもわりとコンスタントに出せる感じがした。Android機だとAndroidのバージョンが11以上か10以下かで入力遅延の有無に差が出る気がする。

次はLinux側。

まずは初期設定の「LATENCY REDUCTION」= AUTOで検証。使ったエミュはRetroarch(mGBA Core)。

AndroidのGBA.emuとほぼ同じか、ちょっと遅延が少ないかも?!という感じ。

最後に、「LATENCY REDUCTION」= OFFで再度実行。

ええ?!先行実行なしの方が早いの??5回の試行のうち、10フレーム2回、11フレームも2回出ているので、明らかにこっちの方が入力遅延少ないっす。

どういうことかは相変わらずわかりませんが、やっぱLinuxで使うわw

まとめ:

コンパクトな筐体ながら十分な性能を持った機体なのではないかと思う。

Linux・AndroidのDual bootなのも、弄り甲斐があって良い点だと思う。

RG351Vの上位機種というよりも、コンパクトさに重点を置いた別のコンセプトを持った機体という印象を受けた。

コンパクトである事で携帯性がアップする反面、操作性は若干落ちてしまうが、それでも、RG280VやMiyo miniよりは操作性が上なので、コンパクトさと操作性の両方をバランスよく保っているような印象だ。

価格面については円安が進んでいる中、この性能と質感でRG353Vは¥16,149、RG353VSは¥12,849とAnbernicらしからぬ適正価格感があって良い。

対抗機であり、コストパフォーマンスが高いと評判のRetroid Pocket3より安いというのは結構なアドバンテージではないだろうか?

まあ、Retroid Pocket3の方がちょっと性能も上なんだどねw

10月6日まではプリセールス価格らしいので、興味を持った方は検討してみては?

NEW ANBERNIC RG353VS/RG353V ポータブルゲーム機 RK3566jp.anbernic.com