No Gadget, No Life

ゲームやガジェットの雑記

RG505 の十字キーを良い感じにしたい

今回は、RG505にちょっと手を加えたら十字キーの操作性が良くなったという話。

なのだが、前半は脱線しているので結果だけ知りたい場合は、RG505の十字キーの問題まで飛ばし読み推奨w

Anbernicの十字キーは良いという誤解:

手を加える話の前に、ちょっと脱線話を・・・・

Anbernic製品の十字キーは操作性が良い。という様な話は、よく見聞きするが本当なのだろうか?

過去10機種くらいのAnbernic製品を触ってきた僕は、

「今となってはAnbernic製品の十字キーは標準以下の操作性」と感じている。

「以前は、Anbernic製品の十字キーは良いと言ってなかったか?」と突っ込まれるかもしれない。確かに「良い」と言っていた時期もある。

ただ、それは過去の話だ。

RG350が売れていた数年前の中華エミュ機と言えば、昔の食玩の様な安っぽい作りの物が多かった。その中で、RG350は機体の作りが他の中華エミュ機より良く、十字キーも取りあえず付けてますという格安機と違って、まともに操作可能なレベルの十字キーが付いていた。つまり、相対的には操作性の良い十字キーと言えるレベルだった。

ただ、NintendoやSony、Microsoftが出している一般的なゲーム機の純正コントローラーには大きく劣る操作性だったのも事実。

2022年頃からOdin ProやRetoroid Pocket3など操作性の良い十字キーを搭載した機体が出始めてきた。

Odin ProやRetoroid Pocket3の十字キーはPS VITAを模しており、操作感・入力精度は一般的なゲーム機の純正コントローラーと比較しても大きく見劣りしない程度まで来ている。

そんな中、Anbernic製品はRG350の頃からほとんど変わらない。その為、相対的に操作性が悪いとなり、「今となっては標準以下の操作性」と感じていると言う訳だ。

かねてより、中華エミュ機の操作性の悪さには不満があった。きっと僕だけではないだろう。そんな市場の不満をくみ取ってか、操作性が良い・もしくは標準レベルに達してきている機体が出てきている中、Anbernic製品はまったく進化していない。

10機種程のAnbernic製品を所有するAnbernicファンとしては、残念な事だ。

ついでに言うと、Anbernicに限らずではあるが、中華エミュ機は個体差が激しく、当たりだと「まあ、良いか」程度に使えるが、外れだとバリがあったり、引っ掛かりがあったりなど、手を加えて加工等しないとまともに使えないこともある。

僕の経験上でいうと、Anbernic製品の場合50~60%の確率で外れを引く。品質管理もしっかりしてほしいものだ。

十字キーの重要性:

もうちょっと脱線話は続く・・・

僕がAnbernic製品を好きな理由は、十字キーを操作系の軸に置くキー配置になっている点。具体的に言うと十字キーが左上、アナログスティックが左下の配置になっているのがお気に入りポイントだ。

最近のゲーム機の多くはアナログスティックが左上、十字キーが左下のXBOX配列になっており、20~30年前のレトロゲームを中心に遊ぶ僕としては、違和感のある配置になっている。

ゲームとは、ユーザー側からのインプットに対してゲーム側がリアクションを起こし、発生したゲーム内のイベントを楽しむ事の連続だと思う。

ただ、ユーザー側のインプットが意図と異なるインプット、つまり、誤入力となってしまうとゲーム内で望んでないリアクションが起こり、楽しめないイベントが発生してしまう。

平たく言うと、誤操作が発生するとゲームが楽しくない。

ゲームを楽しむにはユーザー側が入力した(と思っている)通りにゲームがリアクションしてくれないといけない。

特にレトロゲームにおいては、十字キーがゲーム内のキャラクターを操作する唯一の入力メソッドなので、ここで誤入力が多発するようでは、ゲームを楽しめない。「こんな機体でゲームしてられるか!」ってなってしまうわけだ。

なので、十字キーの操作性、入力精度はレトロゲーマーの僕にとっては超重要なのである。

Anbernicの次世代機はXBOX配列になるという噂もあり、そうなると僕にはAnbernic製品を買う理由がなくなってしまう可能性が有る。悲しい・・・

RG505の十字キーの問題:

さてそろそろ本題に入ろう。

僕はRG505を昨年12月中頃に入手していたのだが、同時期にSteam Deckを入手していた為、1ヵ月程度全く触らないまま放置されていた。

何となく別のおもちゃを触りたいと思った時にRG505の事を思い出し、ちょっと触ってみたところ「これ良いかも?」となって本格的にセットアップすることに。

セットアップ後、数日は機嫌よく使っていたのだが、やはり十字キーの具合が悪い。

Anbernic製品は50~60%の確率で外れを引くと思っているのだが、僕が手にしたRG505は当たりの個体で、良い時のAnbernicクオリティの十字キーだった。

ただ、良いとは言ってもAnbernicクオリティ。問題はある。

最大の問題は、斜め方向の入力が凄く入りやすいことだ。

右方向を押しているのに、右斜め上。左方向を押しているのに、左斜め上に入りがち。

横方向を押して、ちょっとでも上に力が入ると斜め上に入ってしまう。

こんないい加減な入力はPS、Switch、XBOXのコントローラーでは発生しない。

特にシューティングゲームをやっていると、よけたつもりが弾に向かって自機が突進していくというのが多発してしまうのだ。

こんな機体ではゲームなんてやってられない。「何とかならないか?」と考え、有る推論に行き着いた。

それは、「十字キーの軸が短いのでは?」という事だ。

十字キーの軸とは、十字キーの中心にある突起部分で、この突起がある事でボタンを押した時に特定方向にのみ十字キー全体が傾き、その方向にのみにボタンが押されたことにするためのものだ。

GBAの十字キー。赤丸部分が軸

この軸が無いと十字キーを押したときに、複数のキー、例えば右と左が同時に押されるという、あってはならない入力になってしまう。

僕の推論は、Anbernic製品は十字キーの軸の長さが十分ではなく、横方向に入力したときに上下方向のボタンも同時に押されやすくなってしまっているのではないか?という事だ。

この推論が正しいなら、十字キーの軸を少し長くしてやれば操作精度が向上するはず!

軸を長くする方法を考えることに。

手軽に修正したい:

軸の長さを変えると言っても、3Dプリンタの様な、特殊な加工器具を持っているわけでもない僕には何気に対応の難しい課題だ。

プラリペアで軸を少し盛って、やすりで慣らして良い感じにすることも考えたが、軸の問題じゃなかった場合、取り返しがつかないことになる可能性がある。

簡単に加工出来て、かつ、簡単に元に戻せる方法は無いか・・・

そこで思いついたのが、軸が当たる基盤部分にシール等を張って盛る事。軸の接点自体が高くなれば軸が長くなったのと同じ効果を得られるのではないかと考えた。

基盤を盛る:

RG505を分解し基盤の軸が当たる部分に、ちょっと厚手のアクリルテープ片を張り付けて試してみること。

まずは、0.6mm厚のアクリルテープ片を張る。

赤丸部分にテープ片を張って高さを上げる

十字キー全体が上に押し上げられる形になり、キーストロークが短くなった。短くなったというか、ほぼ押せない・・・

強く押すと、上下左右は反応するが、タップ的な押し方では全く反応しない。

さらに斜め方向はほぼ入らない。これはダメだ。

だが、軸を長くすれば斜め方法が入り難くなるという事がわかった。僕の推論は正しい可能性が出てきた。

次は、0.2mm厚のテープ片を張る。

押し心地は何もしてない時とほぼ変わらず。上下左右の4方向も普通の操作でちゃんと反応する。これは良いぞ!と思ったのもつかの間、斜め方向が入り難い。

いや、そうなんだよ。斜め方向を入り難くしたいんだよ、でもね、押したつもりなのに、入ってないはやりすぎなんよ・・・・

最後の望みで、0.1mm厚のテープ片を張る。

0.1㎜ってほぼ何もしてないのと変わんないでしょ?と、もはや諦めムード。機体を分解して、組み立て直してという作業をするのも面倒に感じ始めていたのだが・・・・

良いぞこれ!

横方向を押している状態で、ちょっとだけ上方向に力を入れても斜め方向にはならない。

斜め方向に入れるには、親指が上方向キーに軽く触れる程度まで動かす必要がある。

そうそう、この感じ!

試しにストリートファイターZERO3で昇竜拳コマンドの入力精度を確認する。

初めは、斜め方向が入りやすかった初期状態に比べて、若干昇竜拳が出にくくなったと感じたが、昇竜拳のコマンド終わりは斜め下、波動拳はコマンド終わりが横方向というのを少し意識することで、入力精度が上がったと感じた。

次にシューティングゲーム。横方向に弾をよけたつもりが斜め方向に行くという事態は、ほぼ発生しなくなった。

まとめ:

Anbernic製品の十字キーの軸は短い。という僕の推論は正しかった(自画自賛)

今回の対処方法は、RG505以外の機体でも通用しそう。僕の持っている機体でいうと、Powkiddy製のエミュ機も斜め方向に入りやすい問題が発生していたので、同様の対処方法で改善できるもしれない。

ただ、0.1mmって・・・こんなに繊細だとは思わなかったな。

でも、ゲーム機を出すメーカーには、操作性にもこだわってほしい。たった0.1mmの差でゲーム体験が変わるのだから、メーカーは操作キーの重要性を認識して不満が出ない程度までは高めてほしいもんだ。