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AYN Odin Pro レビュー

今回は、Odin Proのレビューとなる。

ただ、Odin Proは半年くらい前にリリースされた機体で、ネット上には既に数多くのレビューがある。なので、この記事では、僕が気になった点に絞って記事にしていこうと思う。って、いつも通りか?!w

スペック概要:

簡単にOdin Proのスペックをおさらいすると以下の通り。

  • CPU : Snapdragon 845
  • GPU : Adreno 630
  • RAM : 8GB
  • 画面 : 5.98インチ IPS液晶/解像度 1920 x 1080
  • OS  : Android10

Snapdragon 845は、2018年にリリースされたCPUで、Antutu9のスコアが35万~40万位。今となっては、ミドルクラス以下の性能となる。

他のAndroid機とAntutu9のスコアを比較すると、ざっと以下の通り。

機種 CPU Antutu9スコア
Snapdragon 8 Gen 1 約100万

(Galaxy Z Fold 3)

Snapdragon 888 約80万
Snapdragon 870 約70万
GPD XP Plus Dimensity 1200 約65万
(Galaxy Note 10 +) Snapdragon 855 約55万
Odin Pro Snapdragon 845 約40万
Powkiddy X18s T618 約20万
Retroid Pocket 2 + T310 約14万
RG552 RK3399 約7万?

()は僕の持っている機体を参考として記載

僕の知る限りOdin Proは現時点で、Android搭載のゲームパッド一体型携帯機としてはトップクラスの性能。

ただ、今注文しても出荷は8月になるようで、8月にはより高性能な、GPD XP Plusが出荷開始されるそうなので、今から買うのが良いのかは微妙なところ。

Odin Proは約3.8万円~。GPD XP Plusはクラファンで4.5万円~なので価格差と性能差を考えると、バランスが取れているのかもしれない。

エミュ性能:

エミュを使って、レトロゲームを遊ぶには十分な性能だ。

PS2はどうか?ゲームによるが結構動く。これは、AetherSX2の最適化が進んだ恩恵もあるのだと思われる。

AetherSX2が出始めの頃、SD855を積んだGalaxy note 10 Plusで、地球防衛軍2を試した時は、ちょっと重いと感じたが、今回Odin Pro+AetherSX2で試したところ、普通に60FPS出ていた。

ビルドクオリティ:

今まで触ってきたエミュ機では、一番クオリティが高いと感じる。他の中華エミュ機とはクオリティのレベルが異なる。

僕の持っている携帯機で言うと、PS Vitaに近いクオリティではないだろうか?言い過ぎか?w

各パーツの精度が高く、手に取るのが気持ちのいい機体だと感じた。

左:Odin Pro、右:RG503

写真では伝わらないかもしれないが、ABXYボタンのパーツをRG503と比較すると、Odinの方がパーツ精度も質感も、圧倒的に上だと思える。

手に持って気持ち良い機体ってのは、所有欲を満たしてくれるし、つい手に取って遊びたくなる。

携帯エミュ機として考えると$287(約3.8万円)は高額だが、その分のビルドクオリティはあると思う。

操作性:

Odin Proは、十字キーが小さい。十字キーの大きさは、19.5㎜で、PS Vitaとほぼ同じだ。

ちなみに、RG503の十字キーの大きさは、22㎜なのでだいぶ大きい。PS4のコントローラー(DS4)は、25.5㎜。8BitDoのPro2は、24㎜なので、Odin Proの十字キーは、かなり小さい方だ。

左:PS Vitaとの比較、右:RG503との比較

さらに、十字キーの位置は、アナログスティックの下側になっている。

僕の場合、十字キーをメインに使うゲームで遊ぶ事が多いのだが、実際にOdin Proを触る前は、十字キーの操作性は、ある程度妥協せざるを得ないと予想していた。

しかし、予想に反して十字キーの操作性は凄く良い。

押し心地は、カチカチとクリック感のある押し心地で僕の好み。レスポンスが良いというのだろうか、大きさの割に十字キーをちゃんと押せている感じがして、心地よい。

筐体の大きさも手伝ってか、下側についている十字キーも自然に使える感じだ。

いつも通り、ストリートファイターZero3で十字キーの操作性を確認してみたが、コマンド入力ミスは、極めて少なかった。入力ミスのほとんどは、僕が下手なだけ・・・VITAにグリップを付けた時並みの操作性の良さだった。

ABXYボタンはどうか?

カチカチした感じはあるが、ストロークが深いと感じる。VitaやDS4などと比べても体感で2倍くらいストロークが深いと感じる。ボタンを押したときのストロークの深さは、RG503に近い。

ボタンサイズも小さめ。Odin Proは、直径7.7㎜。Vitaは6.7㎜。RG503は8㎜。DS4だと10.3㎜だ。

筐体サイズを考えると、もう少し大きくても良かったのでは?と思ってしまう。

実際、ボタンが小さく、ストロークが深く、ボタン同士の間隔も広いので、Bボタンを押しながらのAボタン同時押しとかは、やや、やりにくいと感じた。RG503の様に引っ掛かるようなことは無い。

また、地味に良いのが、背面ボタンの存在。

Apexモバイルで、ボタンマッピング機能を使って背面ボタンにしゃがむ・ジャンプを割り当てて試した見たところ、屈伸やジャンプしながらのAimも出来るようになった。

携帯ゲーム機で、背面ボタンがある機体は少ないが、Odin Pro位の性能がある機体なら、AndroidのFPSゲームも遊べるので、背面ボタンがある事は、評価出来るポイントだろう。

ボタンマッピング機能:

初めから実装されているボタンマッピング機能は、使いやすいと思った。

直観的に設定できるし、アナログスティックの設定があらかじめ複数用意されていて、ゲームや操作系統に合わせて、最適なものを選ぶことで快適にプレイできる。

わかりやすい設定ながら、細かい調整もちゃんと効く。

エミュでレトロゲームを遊ぶ場合は、不要な機能だけど、コントローラーに対応していないAndroidネイティブのゲームを遊ぶのには、有益な機能だと感じた。

Androidネイティブのゲーム:

Android機なので、最近のAndroidネイティブのゲームもちゃんと遊べるのか、いくつか試してみた。

Apexモバイル

普通に遊べる。FPSは50FPS前後だが、カクつく様子もなく、問題なく遊べる。

PC版ほどガチでプレイしないと思うし、カジュアルに遊ぶだけなら十分だろう。

しかし、コントローラーはそのままでは反応しない。これは、OdinというよりApexモバイルの対応の問題だろう。

ちょっと工夫すると、Odin Proのコントローラーで遊ぶ事が出来る

なので、コントローラーを使うには、前述のボタンマッピング機能を使って設定をしてあげる必要がある。ボタンマッピングの設定は、若干面倒ではあるが、設定さえしてしまえば、その後はコントローラーで比較的快適に遊ぶ事が出来た。

www.ea.com

ベアナックルⅣ:

こちらも快適に遊べた。コントローラーは特に設定をしないでも普通に使えた。

play.google.com

ディアブロ イモータル:

これも行ける。コントローラーも普通に使えた。

play.google.com

 

Android機としてそこそこの性能があるので、コントローラー付きのAndroidゲーム機としても活用できる端末だ。

エミュ機としての初期設定:

エミュ機として使うには、自分で初期設定を行う必要がある。初期設定と言っても、Android機なので普通にアプリを入れて行けば良いだけだ。

僕がやったのは、以前Galaxy Z Fold 3に行ったのと基本同じ。

まとまった情報が欲しければ、この辺この辺が役に立つと思う。

Yaba Sanshiro2:

Yaba Sanshiro2については、AYN Odin Pro向けにSetup guideが公開されているので、以下を参照。

www.uoyabause.org

LaunchBox&AetherSX2:

LaunchBoxはAetherSX2に対応しておらず、LaunchBoxからAetherSX2を起動させるには、ちょっと工夫が必要。以下を参照。

lou-gun.hatenablog.com

入力遅延:

さて、僕が新しい機体を入手するたびに気にしている入力遅延。Odin Proの問題は、ここだ。

いつものように、GBAの星のカービィのミニゲーム・刹那の見斬りで、遅延具合を確認してみた。

Odin Pro

結果は、平均16フレーム。どんなに頑張っても15フレームが限界だった。

これは、実機と比べると5~6フレーム、つまり、0.1秒ほど遅れていることになる。結構な遅延だ。

比較としてほかのエミュ機でも試してみた。

RG503だと、平均12フレーム。ちょっと集中すれば、11フレームも出せる。

RG503

RG503は、JELOSに変えてから入力遅延が減った気がする。11~12フレームって、実機と1~2フレーム程度しか差が無い。もはや遅延は、最小レベルと言って良い。ある意味すげえw

Galaxy Note 10 Plus+GameSirX3だと、平均13フレーム。12フレームもちょいちょい出る。

Galaxy Note 10 Plus + GameSirX3

Galaxy Note 10 Plus+GameSirX2だと、13~14フレームとなるので、GameSir X3だと遅延が少し減っていることになる。

GameSir X3も進化してたのねw

初めは、Android OS自体が入力遅延を起こしているのではないかと思ったが、Galaxy Note 10 Plus+GameSirX3では、2~3フレームの遅延しかないので、Linuxの方が遅延は少ないのかもしれないが、OSの問題だけではない気もする。

同じスマホを使っても、GameSirX2とGameSirX3とで遅延の差が出ることから、コントローラーの電子的な制御の違いもあるのかもしれない。

後は、ボタンのストロークの深さも、関係しているのかもしれない。

Odinのボタンは部品精度は高いが、GameSirX3と比べるとストロークが深いので、その分ボタンを押してから反応するまでに、時間がかかっている可能性もある。

 

ビルドクオリティ・操作性・CPU性能と好印象で、かつ、画面サイズの大きいOdin Proは、僕的には携帯エミュ機のゴールになりうると思える機体だっただけに、入力遅延が大きいというのは残念な結果だ。

ただ、6フレーム(0.1秒)という体感できるほどの遅延があるはずなのだが、実際にゲームをしていると、何故かそれほど遅延していると感じない事が多い。

これはどういうことなんだろう?ゲーム自体が安定して動いているから??良くわからない・・・

結論として入力遅延はあるが、あまり気にしなければ、シューティングやアクションゲームも遅延して遊べない~と感じることは無い。まあ、妥協できるレベルだ。

LinuxとのDual bootに期待:

Odin Proは、Dual bootをサポートしている様で、現時点で既にWindowsとAndroidとのDual bootが可能になっているらしい。

詳細は以下のサイトを参照。

github.com

また、公式からLinux Kernelも公開されており、今後BatceraやEmuElecの様な、LinuxベースのCFWがリリースされ、AndroidとLinuxのDual bootに対応する可能性があると思われる。

以下は公式が公開している、Linux KernelとStock Firmware(Android 10)のリンクとなる。

 

LinuxベースのCFWがリリースされれば、上記の入力遅延問題が解決されるのではないかと、個人的には期待をしている。

まとめ:

最新のAndroidスマホと比較すると性能は低いが、携帯エミュ機としては十分な性能だし、Androidネイティブのゲームもそこそこ動くので、コントローラー一体型の機体としては十分な「アリ」な機体と言って良いだろう。

画面サイズが、16:9の6インチと携帯機としては大画面なのも良い。

後は、このフォームファクターに$287(約3.8万円)分の価値を見出せるかどうかだ。

スマホ+ゲームパッドで良いと思っている人には、お勧めできないかも。

$287と言われると、まあそうかなって思うけど、3.8万円って言われると急に高く感じるね・・・・円安が悪いんだ~~!